本稿は「Software-Defined Imaging's Impact on the Future Medical Industry」の抄訳です。
IEEE Xplore は、Software-Defined Imaging (SDI) の概念と、それが将来の医療業界における技術動向にどのような影響を与えるかを探るために調査を行いました。複数の有識者との議論では、イメージング・システムの従来のハードウェアコンポーネントをソフトウェアに置き換えることで、再構成性を向上させる方法が検討されています。このような置き換えのプロセスがSoftware-Defined Imaging (SDI) と呼ばれます。これにより、ユーザーは最終的な用途に最も適した形で画像センサーをプログラムできるようになるとされています。
IEEE Xplore によると、SDI の適用範囲は、単一画像のキャプチャ、複数画像、連写写真、およびビデオに対応するイメージングシステムを含みます。
SDIの利点の一つとして、さまざまな用途の特定のニーズに合わせてカスタマイズできる、より柔軟で適応性の高いイメージングシステムを作り出す能力が挙げられています。その具体例として挙げられるのが、LUMA Vision の取り組みです。同社は多くの心臓手術や処置を観察した際、患者の約2人に1人が、治療を成功させるまでに2回、3回、さらには4回も再来院していることに気づきました。
共同創業者のクリストフ・ヘナースペルガー博士はこの問題を調査し、イメージングとナビゲーション、特に心臓内で目的の場所を視覚化し、把握するプロセスが、複雑な不整脈の治療(アブレーション療法)においてボトルネックであることを認識しました。
LUMA Vision は、これらの処置において、医師が鼠径部の小さな切開からチューブを挿入し、それを心臓まで進めることを発見しました。その後、問題を治療するために心臓の左側へ渡り、アブレーションを行います。問題は、医師が自分の行っていることを明確に視認できないため、処置が複雑になり、効果も上がらないことです。そこで役立つのが、SDIのようなテクノロジーです。
LUMA Vision は、KDAB(Qt を専門とする著名なソフトウェアコンサルティングおよび開発会社) の支援を受けてエンド・ツー・エンドのイメージングシステムを構築しました。このイメージングシステムは非常に柔軟で、完全にソフトウェア定義型であり、市場の動向や臨床ニーズに適応するよう設計されています。LUMA Visionは、QtがC++ GUIアプリケーションの業界標準であることを認識しており、最も重要なことは、Qtには医療業界での豊富な使用事例があることです。さらに、Qtのクロスプラットフォーム機能により、デバイスを問わず容易にカスタマイズできるため、LUMA Visionは、WindowsやLinuxにも組み込みのテストを展開できるという大きなメリットを得ました。LUMA Visionのイメージングシステムにおける目標は、心臓内に光を当てる製品を提供し、医師が心臓内の様子を把握し、現在位置を理解し、従来のようなブラックボックス的な処置を行うのではなく、次に進むべき方向を指示できる製品を提供することです。
SDIは、新しいイメージング形態や技術の開発におけるより高い革新能力を実現します。例えば、IEEE Xploreの調査論文では、SDIにより、より高い解像度やフレームレート、あるいは新しいスペクトル帯域で画像を撮影できるイメージングシステムが実現できる可能性があると述べられています。SDIの背景にある重要な考え方のひとつは、ソフトウェアの更新による継続的な改善を取り入れるというものです。SDIは、高価なハードウェアコンポーネントの必要性や依存性を減らすことを目的とした、ソフトウェア優先の時代へと向かっています。ユーザーは、イメージセンサーを再プログラムできるようになることで、より深く関与できるようになります。ユーザーのニーズは、SDIによるイメージングシステムの構築を推進する原動力となり、そのシステムは、継続的に更新され、改善されていくでしょう。
SDIは、医療技術の分野に革命をもたらす可能性があります。このテーマについてさらに詳しく知りたい方は、LUMA VisionとKDABによる完全版の講演をご覧ください。
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