GoogleのAndroid Automotive OS(AAOS)は自動車業界にいくつもの波をもたらしました。オープンソース、カスタマイズ、車載情報システムやヘッドユニットへの拡張性といった特徴を備えたAAOSは、市販車への搭載例が増え続けており、今後も業界の大きな話題となるでしょう。
確かにAAOSは、コネクテッド車載インフォテインメント(IVI)開発に優れた基盤を提供します。しかし現実には、自動車メーカーの多くがデザイナー向けツールが限られていることや、Androidベースのヒューマンマシンインターフェース(HMI)設計時に3Dに対応できない点など、さまざまな問題があります。そこでQtは、自動車メーカーの皆様がAndroidのホームスクリーンでもブランドアイデンティティを維持しつつ、高度な3Dグラフィックを活用するなど、Qtの開発フレームワークとデザインツールならではの多種多様なメリットをご活用いただければと考えました。
Qt for Android Automotiveを使ったIVIシステムの開発
Qt Android Automotive OS(QAA)テクニカルプレビューは現在、Qt Device Creationの商用ライセンスユーザーなら誰でもご利用いただけます。Qt for Android Automotiveは、Qtの開発フレームワークとUIツールキットをAndroid Automotiveバインディング、Androidバインディング、およびQt IVIフレームワークと統合しています。
› Qt HMIフレームワークとデザインツールを使ったAndroidホームスクリーンの設計、開発、およびカスタマイズ
› Androidで2D&3Dグラフィックをシームレスに統合
› Qtで構築したHMIをJavaネイティブアプリのアプリランチャーとして使用
› 車載APIへ容易に統合
› JavaネイティブアプリとQtベースのHMIのシームレスな連携
Android Automotiveのサンプル
テクニカルプレビューでは、ユーザーの皆様の開発プロジェクト向けに複数のサンプルを提供しています。
Qt Design Studioで開発したHVAC UIを、Androidエミュレータを使ってAndroid Automotive OSで実行しています。サンプルUIは、VHAL(Vehicle Hardware Abstraction Layer)の各プロパティ(ファンの速度、ファンの向き、温度、エアコンオン/オフ、エアコン最高温度、デフロスターなど)とシームレスに連動しています。
2つめのHVACサンプルでは、車内を座席毎に空調制御するHVACの開発方法を紹介しています。
このサンプルでは、Android Automotive VHALプロパティと連動するQt Quickアプリの開発方法を紹介しています。エアコンのオン、ウィンドーロックという2つのVHALパラメータと連動するアプリとなっています。
このサンプルでは、Qt Android Apps Utilsを使ってAndroidまたはAndroid Automotiveデバイスにインストール済みのアプリ一覧を表示する方法と、関連イベントの管理方法を紹介しています。UIはQt Quickで開発したものです。
詳細:https://doc.qt.io/QtAndroidAutomotive
QAAのダウンロード:https://account.qt.io