組み込みシステムおよび組み込みソフトウェアエンジニアに不可欠なスキル
5月 17, 2021 by Risto Avila | Comments
組み込みシステムは今や数千種類の製品に使われており、高度なスキルを持った組み込みエンジニアの需要も高まっています。The Qt Companyでは、多くの組み込みエンジニアを抱える様々な企業と共に長年にわたり経験を積み、組み込みエンジニアとして成功するために欠かすことのできない重要なスキルを共有してきました。
本稿のトピック:
- 組み込みソフトウェアエンジニアに不可欠な技術的スキル
- 組み込みシステムエンジニアに不可欠な技術的スキル
- 組み込みエンジニアが身につけるべき主なソフトスキル(技術以外のスキル)
- 組み込みエンジニアのスキルアップの方法
- 今後、組み込みエンジニアに求められるスキル
組み込みエンジニアに求められるスキルとは?
組み込みエンジニアには、さまざまな技術的スキルが必要です。これには、コンピュータハードウェアとソフトウェア、CやC++といったプログラミング言語に関する専門知識が含まれます。また、コミュニケーション能力や問題解決能力といったソフトスキルも大切です。
「組み込みエンジニア」という呼称は、「組み込みソフトウェアエンジニア」もしくは「組み込みシステムエンジニア」を指します。いずれのエンジニアの場合も、必要とされるスキルはその人が携わる製品や、プロジェクトを構成するモジュールによって異なってきます。
組み込みシステムを動かすハードウェアやソフトウェア、その他のテクノロジーの詳細は、組み込みシステムのテクノロジー一覧をご覧ください。
組み込みシステムエンジニアの役割とは?
組み込みシステムエンジニアは、組み込みシステムの全体像を把握していなければなりません。その網羅的な知識を生かして、ハードウェアとソフトウェアを組み込みシステムへと統合するのが、組み込みシステムエンジニアの仕事であり、システムと製品の全体を正しく動作させるのがゴールです。また、多くのプロジェクトでは、組み込みシステムエンジニアが組み込みソフトウェアの開発にも携わることになります。
組み込みソフトウェアエンジニアの役割とは?
組み込みソフトウェアエンジニアの役割は、組み込みシステムのソフトウェアを開発することです。組み込みシステムとその限界について一般的な概念を理解し、ソフトウェアをシステムと正しく連動させます。
ただし、システムの構造や限界については、組み込みシステムエンジニアほど深い知識は有していません。
組み込みソフトウェアエンジニアに不可欠な技術的スキル
組み込みソフトウェアエンジニアと開発者は、幅広い技術的スキルを必要とします。プログラミング言語、デバイスドライバ、リアルタイムOSについて深い知識を有していなければなりません。
組み込みソフトウェアエンジニアに必須のスキル、あるいは専門知識を身につけるべき領域:
- CおよびC++プログラミング言語
- マイクロコントローラ(MCU)
- マイクロプロセッサ
- Linux OS
- システムオンチップ(SoC)レベルのソフトウェア最適化スキル
- リアルタイムOS(RTOS)
- デバイスドライバ
- デザインパターンおよび組み込みシステムのデザインパターンに関する知識
- デバッギングスキル
- 既存のコードベースを使うスキル
- 割り込みドリブンなデザイン
- アセンブリプログラミング言語
- ハードウェアテスト機器:オシロスコープ、ロジックアナライザ
- 通信規格について学んだ経験または学ぶ能力。最低限でも理解しているべき規格として、I2C、シリアル・ペリフェラル・インタフェース(SPI)、USB、汎用入出力(GPIO)、コントローラエリアネットワーク(CANバス)、RS232、1-Wire、RS485がある
- 回路図を読む能力
- モノのインターネット(IoT)およびインターネットベースの各種テクノロジーに関する基本的な知識
- データ構造に関する知識
- Pythonプログラミング言語
- RISC-V命令セットアーキテクチャ
組み込みソフトウェアエンジニアに不可欠なスキルの一覧をMicrosoft Wordでダウンロード
組み込みシステムエンジニアに不可欠な技術的スキル
組み込みシステムエンジニアは、ハードウェアとソフトウェアの両方の開発経験を有している必要があります。また、最新のプロセッサやその他の組み込みシステムツールに精通していることも重要です。
通例、組み込みシステムエンジニアには組み込みソフトウェアエンジニアと同様の技術的スキルが求められますが、さらにまた別のスキルも必要とされます。
組み込みソフトウェアエンジニアと同様の主な技術的スキル:
- マイクロコントローラ(MCU)
- CおよびC++プログラミング言語
- リアルタイムOS(RTOS)
- Linuxなどのデバイスドライバ
- Linux OS
- 通信規格
- I2CやSPIなどのインターフェースバス
- 汎用入出力(GPIO)
- 最新のプロセッサなど、マイクロプロセッサ関連のテクノロジー
- ハードウェアとソフトウェアの両方に関する豊富な経験
- デザインパターンおよび組み込みシステムのデザインパターンに関する知識
- ローカルとリモートのデバッギングを含むGNUプロジェクトのデバッギングスキル
- MATLABプログラミング言語とMATLABモデリング(社内でMATLABを使っている場合)
- デザインパターン
- マルチプロセッサデザイン
- マルチサブシステムの課題
- オープンソースソフトウェア
- Wi-FiやBluetooth low energy(BLE)などの無線接続技術
- 統一モデリング言語(UML)
組み込みシステムエンジニアに不可欠なスキルの一覧をMicrosoft Wordでダウンロード
すべての組み込みエンジニアが身につけるべき主なソフトスキル
組み込みエンジニアが成功するには、幅広い「ソフトスキル」、つまり技術以外のスキルも必要です。主なソフトスキルとして、ネットワーク作りやコミュニケーション、チームで仕事をする能力といったものが挙げられます。
組み込みエンジニアが持っていると有益なソフトスキルの例:
- トラブルシューティング
- システム思考
- 言葉とグラフィックを用いて上手にコミュニケーションするスキル
- 演繹的推理
- 問題解決能力と新たな解決策を生み出す能力
- EQ、心の知能指数(他者とうまく協働する能力)
- チームワークや同僚との情報共有能力
- ネットワーク作り
- コミュニティ内の議論への積極的な参加と情報共有(特にオープンソースコミュニティにおいて)
- プロジェクトの推進に必要なシステム開発やその他の情報を調べ、探し出す能力
- プロジェクト管理に関する基本的な知識
- 創造性
- 現状に甘んじることなく学習する能力
- 忍耐力
組み込みエンジニアのスキルアップの方法
組み込みエンジニアリングのスキルは、仕事での経験を通して磨くことができます。職場以外では、講座を受ける、関連書を読む、オンラインでリサーチをするといった方法でスキルの向上を図ることができます。
米国ボストンに拠点を置くソフトウェア開発コンサルティング会社、STTアソシエーツ(STT Associates)の社長でプリンシパルエンジニアを務めるサル・トゥチット氏(Sal Tuccitto)は、エンジニアに求められるスキルについて次のように語っています。「エンジニアは、ハードウェアエンジニアリングと電子工学のコンセプトに精通していなければならない。回路理論についても講座などで学ぶべきだろう。少なくとも、基本的な回路理論の知識を身につけ、既存の組み込みコードを研究する必要がある。オープンソースプロジェクトなら、研究対象にもなるし、実際に参加することも可能だ」
2021年以降、組み込みエンジニアに求められるスキル
組み込みエンジニアは今後、組み込み市場のトレンドの移り変わりに遅れを取らぬよう、常にスキルを磨き続けなければなりません。また、新たなテクノロジーの進化に合わせて学び、必須の「ソフトスキル」も向上させていくことが大切です。
今後、特に重要になってくるスキルは以下のとおりです:
- プログラミングやプロセッサテクノロジー、マイクロコントローラ、リアルタイムOSの変化に遅れを取らないために継続的にスキルを磨く能力
- 人工知能(AI)と組み込みシステムへのAI搭載例の増加に関する知識
- インターネットベースのテクノロジーとIoTに関するスキル
- 3Dを含むグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)のデザインスキル
- チームワーク、問題解決、情報共有、コミュニケーションに関するソフトスキル。これらのソフトスキルは今後、組み込みエンジニアリングプロジェクトが個人やリモートで行われるケースが増えるにつれ、さらに重要性を増す
組み込みフレームワーク関連のスキルの重要性
組み込みシステムは今や、私たちが日々利用する多くの製品に欠かせない構成要素となっています。その重要性は今後一層高まり、さらに多くの製品に組み込まれていくことになるでしょう。開発者は、組み込みフレームワークやウィジェットを活用することで、近代的なデバイス用の組み込みアプリケーションやGUIの開発プロセスを合理化できます。
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