この記事は The Qt Blog の Qt Creator 4.6.0 released を翻訳したものです。
執筆: Eike Ziller, 2018年03月28日
Qt Creator 4.6.0 をリリースいたしました!
最新の C++ に追従するために、Clang のコードモデルのバックエンドを Clang 3.9 から 5.0 へとアップグレードしました。これにより、Clang 3.9 では未対応であった多くの C++17 の機能 に対応することができました。ClangCodeModel
プラグインはデフォルトでは無効化されているため、Help > About Plugins (macOS では Qt Creator > About Plugins)から有効化することでこの恩恵が受けられます。
このアニメーションでは、Clang-Tidy と Clazy を利用した警告表示の C++ エディタの診断メッセージへの統合を紹介しています。チェックの中には時間がかかるものや、幅広いレベルで誤検知を出すようなチェックはデフォルトでは無効化しています。これらは Options > C++ > Code Model > Clang Code Model Warnings で、プリセットのうちのどれかのコピーを生成し、有効にしたいものにチェックを入れてください。
Clang Code Model を有効化した場合には、エディタ上のシンボルのツールチップの情報量が増えるでしょう。auto
の実際の型の解決やテンプレート型のパラメーターの表示などに対応しています。また、ドキュメントの最初もしくは \brief
の段落も表示されます。
関数定義のハイライトを分離し、Windows で Clang がハンドリング中のヘッダーファイルの保存に関する問題を修正しました。
ロケーターに3つのフィルターを追加しました。"b<space>" でブックマークへのアクセスや、ファイル名やノートでのフィルタリングに対応しました。ほかの2つは厳密にはナビゲーションではありませんが便利なものです。
"t<space>" のフィルターはメインメニューのアイテム用です。メニューの表示名やメニューのパスなどに対応しています。例えば、"t sess expe" でメニューの File > Sessions > Experimental Something を実行することができます。
"=<space>" でシンプルな ECMAScript (JavaScript) の実行ができるようになりました。ECMA-262 specification に準拠したすべての関数を気軽に試すことができ、Math
オブジェクトの関数はグローバルでも使えるようにしました("Math.max(1, 2)" を単に "max(1, 2)" で動かせるようになっています)。
Qt Creator 4.5 で追加した File System のナビゲーションの開発も継続しています。4.6 では上部にパンくずリストを追加し、コンテキストメニューからのファイルの追加、削除、ファイル名の変更に対応しました。
元々のコントリビューターの Jochen により、今回大幅なアップデートが行われました。まず「実験的」というステータスを取り下げ、デフォルトで利用可能にしました。UI の整理も行い、エディタのツールバーにズーム機能をつけたり、File メニューにエクスポート機能を移動したりしました。ダイアグラム全体だけではなく選択されたエレメントのみのエクスポートにも対応しました。エディタにはテキストのアライメントのサポートと複数行のオブジェクト名のサポートが追加され、多くのペイン間でのアイテムのドラッグアンドドロップにも対応しました。
Qt Creator の隅々に渡って多くの改善がなされました。詳細は changelog をご覧ください。
オープンソース版は Qt のダウンロードページ より、商用版のパッケージは Qt Account Portal より入手可能です。Qt Creator 4.6 はオンラインインストーラ経由でのアップデートも可能です。不具合を見つけた場合には バグトラッカー までお知らせください。また、IRC の chat.freenode.net の #qt-creator や Qt Creator のメーリングリスト でもお待ちしています。