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Qt Creator 4.6 ベータ版をリリースしました

作成者: 鈴木 佑|Mar 20, 2018 1:29:24 AM

この記事は The Qt BlogQt Creator 4.6 Beta released を翻訳したものです。
執筆: Eike Ziller, 2018年02月07日

Qt Creator 4.6 ベータ版をリリース致しました!

C++ サポート

おそらく一番の目玉で直接わかりやすいものは、Clang code model のバックエンドを Clang 3.9 から Clang 5.0 にアップグレードしたことでしょう。これにより、Clang 3.9 では未対応だった C++17 の新機能 に対応することができました。Clang code model はデフォルトでは無効になっています。 Help > About Plugins(macOS では Qt Creator > About Plugins) を開き、ClangCodeModel プラグインを有効にしてください。

もう一つのデフォルトでは無効になっている新機能は、Clang-TidyClazy の警告や診断機能の C++ エディタへの統合です。Options > C++ > Code Model > Clang Code Model Warnings を開き、どれかのプリセットのコピーを生成し、必要なもののチェックを入れてください。

シンボル上のツールチップ情報も(Clang code model を有効にした場合には)ビルトインのものではなく Clang が生成した情報が採用されます。auto の実際の型の表示対応や、テンプレート型でのテンプレートパラメーターの表示に対応しました。またドキュメンテーションの最初のパラグラフか \brief パラグラフも表示するようになっています。

また、関数定義のハイライトを分離し、Windows で Clang が処理中のヘッダファイルの保存に関するバグをいくつか修正しました。

ナビゲーション

ロケーターに3つのフィルタを追加しました。 "b<space>" でブックマークのファイル名やノートでのフィルタリングに対応しました。他の2つはナビゲーションに直接関係はありませんがとても便利なものです。

"t<space>" でメインメニューの項目にアクセスできるようになりました。メニューの項目の表示名での実行や、メニューのパスの一部を使った指定が可能です。例えば、"t sess expre" と打つだけで、File > Sessions > Experimental Stuff を実行することができるでしょう。

"=<space>" で簡単な ECMAScript(JavaScript) の式を評価することができるようになりました。ECMA-262 の仕様に準拠したすべての機能 が簡単に試せるようになっています。また、利便性を考慮し、Math オブジェクトのメソッドはグローバルな関数として利用できるようにもしました(このため、"Math.max(1, 2)" は単に "max(1, 2)" と書くことができます)。

Qt Creator 4.5 で始めたファイルシステムペインの改良も継続しています。ファイルパスのパンくずリストが上部に表示され、コンテキストメニューからはファイルの追加、削除、リネームが可能になりました。

モデルエディタ

モデルエディタの元々のコントリビューターの Jochen のおかげで、今回のリリースには大きな更新がなされました。テキストのアライメントとオブジェクト名の複数行対応が追加されています。また、モデル全体と選択されたアイテムのみの画像のエクスポートが可能になりました。様々なペインでアイテムのドラッグアンドドロップが可能になりました。モデルエディタを利用するには、Help > About Plugins(macOS では Qt Creator > About Plugins)からプラグインを有効にしてください。

これ以外にも Qt Creator の様々な場所で改善が行われています。さらに知りたい方は changelog をご覧ください。

Qt Creator 4.6 ベータ版の入手

オープンソース版は Qt のダウンロードページ より、商用ライセンスをお持ちの方は Qt Account Portal より入手可能です。オンラインインストーラーをお使いのみなさんは、 Preview > Qt Creator 4.6.0-beta1 からも入手いただけます。不具合を発見した場合は バグトラッカー まで報告お願いします。IRC の chart.freenode.net の #qt-creator チャンネルや Qt Creator のメーリングリスト で直接開発者とコミュニケーションを取ることも可能です。