この記事は The Qt Blog の Qt Creator 4.3 Beta released を翻訳したものです。
執筆: Eike Ziller, 2017年3月30日
本日 Qt Creator 4.3 のベータ版をリリースいたしました。
Qt Quick Designer で QML のコードエディタが利用可能になりました。これによってプロパティエディタやナビゲーターに加えソースコードによる編集も可能になりました。分割ビューで編集している場合には、編集結果がすぐに反映されるでしょう。グラフィカルエディタ側には StackedLayout や SwipeView のようなコンテナのサポートや一般的なアクション用のツールバー、HiDPI ディスプレイのサポートが追加されました。
QML プロファイラを利用して Qt Quick アプリケーションのプロファイリングを行う際に QML のコードエディタから直接パフォーマンス関連の情報を見ることも可能になりました。プロファイラ自体も様々なパフォーマンスの改善がなされています。
Qt Creator で CMake 3.7 以降のバージョンを使う場合、CMake 3.7 で導入されたサーバーモードの利用が可能になりました。これにより、これまでジェネレータや Makefile を解析して取得していた情報以上のプロジェクト構成に関するより詳細な情報を取得することが可能になりました。これによりプロジェクト内のプロダクトやターゲットを個別にビルドすることができるようになりました。
CMake のバージョンに関わらず、プロジェクトファイルに明記されていないヘッダファイルもプロジェクトツリーに表示するようにしました。これまでの CMake プロジェクトのインポートに加え、CMake のプロジェクトをビルドツリーからインポートする機能も追加し、ビルドの CMake のキャッシュからのキット情報の生成やツールチェイン、Qt のバージョンなどを自動的に取得し設定することが可能になりました。
ソースコードが状況によって様々に解釈されることはよくあることです。同じファイルが、異なるプロジェクトで異なる define で、さらには C や C++ や Objective-C や Objective-C++ から参照されることもありえます。これまでエディタのツールバーの「#」で開くダイアログでプロジェクト固有の設定を追加することができましたが、これを別のドロップダウンメニューとしてエディタのツールバーに追加し、言語の選択も追加しました。
実験的にサポートした機能を試すのが好きな方々は、ClangRefactoring プラグインを有効にしてみてください。これにより Advanced Find での clang-query のサポートが有効になります。またローカルのリネーム処理で Clang が使われるようになります。
iOS 向けの開発に Qt Creator をお使いの場合、署名用の開発チームとプロビジョニングプロファイルの選択が可能になりました。QMake が自動的に採用するデフォルトの設定とプロジェクトファイルに書かれている設定を上書きすることができます。
残念ながら Android SDK の 最新の 25.3.1 は現在の Qt や Qt Creator では動作しません。Qt が依存しているツールに変更がなされたためで、これについては現在対応中です。対応状況は QTCREATORBUG-17814 にて確認ができますが、対応が完了するまでは Android SDK の 25.2.5 をお使いください。
デバッグ用にバンドルして提供している CDB では Python ベースの出力の成形バックエンドが利用可能になりました。デバッガの起動がとても速くなり、GDB と LLDB と CDB の出力の成形の統一により、Qt Creator の CDB でもよりより出力を得ることが可能になりました。
これら以外にも数多くの改善がなされています。 change log で詳細を確認してみてください。
qt-creator on chat.freenode.net, and on the Qt Creator mailing list.
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お知らせ: 今回から Windows 向けの 64-bit オフラインインストーラーの提供を開始しました。