この記事は Qt Blog の "Qt 3D and Qt5 / Qt4 news and releases" を翻訳したものです。
執筆: sarasmit, 2012年04月11日
Qt 3D をヒットさせるために3年以上もの月日を費やしてきましたが、いよいよその日がやってきました。いまや Qt 3D は Qt5 に取り込まれ、すべてのプラットフォームにおいて QML でその魅力を高めたアプリの新世代の UI の中心となることでしょう。Qt 3D は Qt5 Essential(Qt5 必須モジュール) であるため、すべての Qt5 がサポートするプラットフォーム で動作するとともに、QML に OpenGL で高速化された 3D コンテンツをもたらします。これは我々チームにとっては素晴らしいニュースですし、プロジェクトで Qt 3D を既に使用されている方々や検討されている方々にとっても良いニュースです。
Qt 3D のファンでこれまでプロジェクトを追い続けてきた方々はご存じでしょうが、まだリサーチプロジェクトであったときから、その時にサポートされている Qt4 のバージョンに適合したパッケージを注意して作成、リリースしてきました。過去のリリースではすぐに使えるバイナリパッケージを Symbian^3 や N900、N9、そして Windows デスクトップ向けに、ソースパッケージを Linux と Mac 向けにリリースしてきました。それらのリリースを通じて素晴らしいフィードバックを頂きましたし、Qt 3D を用いた興味深いプロジェクトを目にしてきました。
Qt5 の一員となったことで、SDK チームとリリースプログラムは Qt5 の正式リリース時に Qt 3D も利用できる形にすることになります。これによって、私たちはパフォーマンス改善やバグ修正、要望された機能の実装などにより多くの時間を費やすことが出来るようになります。パッケージの作成にはそれなりのリソースがかかっていましたので、これはありがたいことですし、その分 Qt 3D の改善に注力することが出来ます。
Qt 3D がリサーチプロジェクトから昇格する前に、最後のリリースを行います。本リリースがそれです。以前の Qt 3D TP1(テクニカルプレビュー1)と TP2 に続く、この 1.0 のリリースは我々の Qt 4.x プログラムの一部です。本リリースでには重大なバグの修正と、マルチスレッドテクスチャやモデルの読込などのいくつかの新機能、そして新たに Qt 3D アプリケーションでロードするモデルを閲覧しながら設定出来る Qt 3D Asset Viewer が含まれています。
本日 Qt 4.8.1 向けの Qt 3D 1.0 を(ささやかな祝福と共に)アナウンスします。これは 4.x メジャーバージョン向けの最後のリリースとなります。
Windows 版のパッケージは Qt のダウンロードページ から入手できる Qt 4.8.1 Windows MSVC2010 版用となります。
ドキュメントは Qt Project のサイトでオンライン でも提供しています。
N9 用のバイナリパッケージは作成していません。Qt SDK に含まれる Qt 4.7.x Harmattan サポートを利用してソースパッケージから各自でバイナリパッケージを作成できます。ビルド方法を記載したドキュメントの N9 向け手順 に従ってください。Symbian においても同様に各自でパッケージを作成する必要があります。Windows 上で MinGW 版 Qt を利用している方々もソースパッケージからビルドする必要があります。
何故 N9 や Symbian 用の Qt 4.x 用 Qt 3D 1.0 のパッケージを提供しないのかというと、4.x 用の Qt 3D 1.0 はリサーチプロジェクトであり、以前のデバイス用パッケージは Nokia の正式なパッケージではなくただ単に開発者の皆さんの便宜を図るためのものであったためです。Nokia は Qt 4.x の一部として Qt 3D のパッケージを提供しないということを強調するために、各自でパッケージを作成することをお願いしています。各端末用のアプリケーションで Qt 3D を利用する場合には、各自で対応して頂く必要があります。申し訳ありませんが、これがリサーチプロジェクトの流儀となります。Qt 3D のチームとは IRC や メーリングリスト でコンタクトが取れますので、Qt 3D をアプリに組み込む場合について可能な限りサポートを行います。しかし、残念なことにこれらのプラットフォーム向けの Qt 4.x 用 Nokia 公式パッケージは提供できません。
Qt5 に関してはどうでしょうか。QML のレンダリングエンジンは強力に改善され、OpenGL のサポートが必須であることによって Qt 3D にはぴったりの場所です。QML2 が動くと言うことは OpenGL すなわち Qt 3D が Qt5 のどのプラットフォームでも動くと言うことです。是非、Qt5 で Qt 3D を試してください。まずは先日リリースした「Qt 5 アルファ版」をチェックして、感想を教えてください。最新版を試したい方は Git からソースを取得して Qt5 の Qt 3D をビルド してください。