この記事は Qt Blog の "Qt 5 with Rasberry Pi: a delicious mix with home delivery" を翻訳したものです。
執筆: Quim Gil, 2011年11月24日
Raspberry Pi プロジェクトはとても面白い取り組みで、Qt 5 の開発を加速するのにちょうどいいタイミングでリリースされようとしています。この手頃な価格の小さなボードは、新しい Qt の開発サイクルに参加しようとしている開発者の皆さんにとって理想的なハードウェアプラットフォームとなるでしょう。Qt 自体または Qt を使った製品やアプリを開発している方は、是非注目して下さい。テクノロジーに興味のある Qt 開発者なら誰だってこの究極のセットアップで楽しめるはずです。
Raspberry Pi の素晴らしいところは、どんな開発者にも手の届く 25~35 ドルという価格だけではありません。この Broadcom チップセットには、Qt 5 を動かさなければ目立たない 3 つの機能があります。Linux フレンドリーなハードウェア、サポートされた GPU と OpenGL ES のライブラリがデフォルトでついてくるのです。Raspberry Pi はどちらかというと制限のあるハードウェアだということを忘れないで下さい。ここで良いパフォーマンスが出せれば、あらゆる種類のモバイルや組み込みの端末でも同様の結果を望むことができます。普通のネットブック、タブレット、PC などは放っておきましょう。このディスプレイに映し出されている素晴らしいグラフィックが、このちっぽけなむき出しのボードから出力されているという事実を、私はまだ信じきれていません。
ICS と Nokia のエンジニアによる小さなグループが、Qt 5 をフルに動かす為の最小構成のブートストラップや Qt Creator への統合を実装する作業を開始しました。Broadcom と Raspberry Pi Foundation から、ドライバの開発や評価用ボードの提供などの素晴らしいサポートを受けています。最初の成果は 1 ヶ月ほど前にシンプルな ビデオ といくつかのカジュアルな ドキュメント、そしてミュンヘンの Qt Developer Days での BoF ミーティングや Qt/ICS ブースでのデモ展示で公開されました。11 月にはさらに作業が進み、来週のサンフランシスコの Qt Developer Days で展示する準備が(ほぼ)整いました。
SDK 向けに Raspberry Pi をブートできるイメージと、ボードに接続するための Qt Creator プラグインを提供することが私達のゴールです。この基礎が完成し、Raspberry Pi が販売を開始すれば、誰でも箱を開けて(ボードが箱に入っていればですが)すぐに Qt 5 を動かすことができるようになります。ハードウェアに接続するためのスタックや Qt Creator サポート等における Qt の最適化に、誰でも参加し貢献することができるでしょう。さらに、私達はこのセットアップで Qt 5 向けに開発または移植されたアプリを公開する為の方法を検討しています。これらの活動を推し進める勇敢な開発者の努力は必ず報われる時がくると信じています。
実は、Nokia が Qt 5 を使い倒してくれるであろう 400 人の開発者の皆さんにボードを提供することになりました。Raspberry Pi Foundation は、ベータテストとフィードバックを前提にこれらのボードの出荷を優先してくれるそうです。この 400 人のなかの 1 人になりたいですか? 急いで下さい!Qt 5 を使った良いアイデアとふさわしい経歴をお持ちの方にお届けしたいと思っています。
Qt Developer Days サンフランシスコに参加される方は、ボード上で動く私達のプロジェクトの成果を実際に見ることができます。29 日の Qt Contributors Day では BoF ミーティングを行う予定です。参加無料なので、興味がある方はご連絡ください(訳注:すでに終了しました)。エキシビションでは専用ブース(Qt デモゾーンの ICS スタンド)でデモを展示し、質問もお受けします。実は、ICS はイベント中 50 の Raspberry Pi クーポンを提供する予定です。是非ブースを訪ねてみて下さい。
Dev Days が終わったら本格的にコミュニティとのコラボレーションを始めたいと思います。楽しみにしていて下さい!