Qt Quick Components 1.1 for Symbian のリリース

この記事は Qt Blog の "Qt Quick Components 1.1 for Symbian – Update" を翻訳したものです。
執筆: Sami Lehtonen, 2011年11月8日

4ヶ月程前の2011年7月に Qt Quick Components が Symbian 3 および Symbian Anna 端末に登場しました。その後に販売を開始した Nokia N9 には Qt Quick Components for MeeGo 1.2 Harmattan がプリインストールされていました。

その後も開発は続いていて、とうとう Qt Quick Components 1.1 for Symbian のリリースに至りました。

新しくリリースされた Symbian Anna および Symbian Belle には、Qt 4.7.4、Qt Quick 1.1 と共にこのアップデートがバンドルされています。これにより迅速なアプリケーションの UI 設計や開発が可能になります。このバンドルの詳細については Aleksi Uotila による Qt 4.7.4 Release Bundle for Symbian News の記事をご覧下さい。

Qt Quick Components 1.1 for Symbian の新機能:

  • Right-To-Left のサポート により右から左に記述する言語での(テキストとアイコンなどの)レイアウトの反転が可能になりました
  • 分割ビューによる入力のサポート により、フルスクリーンで表示していたバーチャルキーボードがスクリーンの一部に表示可能になり、よりユーザーフレンドリーになりました
  • Input Context からソフトウェアの入力エリアのサイズや表示/非表示の情報にアクセスできるようになりました
  • 反転したスタイル が Qt Quick Components のスタイルに追加されました

さらに、新しい要素も追加されています:

  • Label を使用することでテキストやリンクなどをプラットフォームのデフォルトのフォントと色で表示することができます
  • SearchBox は検索用の要素で、検索用の入力フィールドと検索アイコンによるプログレッシブサーチの機能を提供します
  • PageStackWindow は (ステータスバー、ページのナビゲーション、ツールバーなどの)“すべての基本機能を統合したもの” で、プラットフォームのルック&フィールで表示されます


これらの新機能を使うには 最新の Qt SDK をダウンロードしNokia Developer にある最新のデザインガイドライン を読み、Qt Quick アプリケーションで 使用可能な50個程度の部品 について学んでください。この新しい Symbian 向けの Qt リリースバンドルは話題の端末に対応しているため、みなさんの Qt Quick アプリケーションは Nokia Store (詳細は Aleksi の記事を参照) を通して膨大な数のダウンロードの機会が得られます。

このアップデートは便利な新機能だけではなく、それ以外の内部的な部分の改善もなされています。Qt Quick Components の生成時間をモニタし、遅い要素に対する最適化を行いました。例えば TextArea や TextField は大幅に改善されています。ListView のスクロール速度もなめらかになり、その速度は delegate の速度に依存する割合が最も大きくなりました。ListItem, ListItemText もしくは Image などを delegate に使用する場合には 60 fps(frames per second) に近いパフォーマンスで動作することも可能になりました。

スタックの改善も重要なステップですが、アプリケーションレベルでの設計の最適化も同様に重要です。Qt Quick Components を使用した Qt Quick アプリケーションのパフォーマンスを良くするための最初のステップは、一般的なミスを防ぐことです。もちろん、様々なアプリケーションの様々なユースケースごとに解析はすべきですが、多くのアプリケーションで考慮すべき普遍的なパフォーマンスの改善の Tips をここでいくつか紹介します:

  1. アプリケーションのロジックをいくつかの部分に分割し、QML Loader を活用 して起動時に読み込むパートを最小限にする。
  2. 別スレッドを使用し 大きな画像のロードを非同期化 (QML の Image で asynchronous: true を設定)することによりユーザーインターフェースをブロックしないようにする。
  3. 適切なサイズの画像を使用することで 画像のリサイズやスケールを避ける
  4. 大きな画像では QML の Image の sourceSize プロパティを使用し ロードする画像の実際のピクセル数を設定する。
  5. PageStack 利用時のメモリの消費量に注意を払う。 PageStack はアプリケーションのナビゲーションを扱う簡単な方法ですが、その反面、PageStack の深さが増えるにつれメモリ消費量が増えがちです。これはユーザーが常にナビゲーションの先の新しいページ(新しいページがスタックにプッシュされ、メモリも確保されます)に進むけれども、(ページがポップされないのでメモリが開放されない)スタックの前には戻らない場合に起こりえます。
今回のアップデートは以上です。またなにか新しいものができた際にはおしらせします!

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