この記事は Qt Blog の "The Qt Project is live!" を翻訳したものです。
執筆: Lars Knoll, 2011年10月21日
本日、Qt Project が正式に開始しました。このアナウンスができることをうれしく思います。今日以降、Qt の開発は真のオープンソースプロジェクトとして運営されることとなりました。
qt-project.org がそのサイトです。Qt の開発のすべてがここに集約され、Qt への貢献を望むすべての人々に同じインフラとプロセスを提供します。
Qt Project に参加し、そのコミュニティの一員になるということに興味がある方は、まずはプロジェクトの Web サイトである qt-project.org を訪れてください。このページにはどこからはじめればいいのかや、コミュニティの一員となり Qt に貢献する方法がきれいにまとまっています。
既に Qt に貢献したことのある方は、おそらく Qt のバグ追跡システムである Jira のアカウントを持っていることと思います。すべての開発の中心である codereview.qt-project.org へアクセスするにはそのアカウントが必要です。
Qt の Gerrit サーバである codereview.qt-project.org がパッチを提出する場所になります。また、提出したパッチをレビューし、テストする場所でもあります。Jira のアカウントを持っている全員が Contributor(貢献者) としてパッチをコードレビュー用に提出できます。
パッチは誰でもレビューでき、最終的には Approver(承認者) と Maintainer(メンテナ) によって承認あるいは却下されます。Approver と Maintainer には既に Nokia 社外の人たちが何人かいることに気が付きましたか。その中でも Thiago に注目したいと思います。彼は(すべてのモジュールから利用されている) QtCore のメンテナですが、Nokia の社員ではありません。これはオープンガバナンスを意味する最も象徴的な証拠です。私はこのように、将来多くの Nokia 社外の人々が Approver や Maintainer になっていくことを想定し望んでいます。
貢献する方法の詳細については www.qt-project.org を見てください。
今のところは lists.qt-project.org で開設されたメーリングリストはわずかです。しかし、プロジェクトの発展に伴う状況の変化に応じて、様々なメーリングリストが開設されていくでしょう。最も重要なメーリングリストは、開発の全般的な話題を扱う development@qt-project.org です。development メーリングリストは announcement メーリングリスト のメンバーであることに注意してください。そのため、自動的に announcement メーリングリストのメールを受け取ることになります。
バグや要望の追跡には、引き続き Jira を使います。現在のサーバは bugreports.qt.nokia.com にありますが、数週間のうちに Qt Project へ移行するでしょう。
Qt Project は真のオープンソースプロジェクトです。Qt をより良い製品とする助けとなるよう、すべての人々に参加を呼びかけています。
すべての開発は、すべての人々が同様にアクセスするただ一カ所で行われます。「Nokia と社外」という別々のコードフローはもうありませんし、それに起因していた遅延もありません。Nokia からも社外からも同じものにアクセスしています。議論や意思決定、ロードマップの選定もコミュニティのコミュニティによるコミュニティのためのものです。誰もが Contributor になることができ、充分な能力を示すことができれば Approver や Maintainer にもなれます。
Qt Developer Days では Qt Project とオープンガバナンスに関するセッションが開かれます。キーノートでもそれらに関して触れるつもりです。このイベントに参加される方はさらに深く理解するができ、その場での議論に参加することができます。Dev Days への参加をまだ検討中であれば、この議論は参加する理由の一つになります。
ようやくこの移行が実現できたことを本当にうれしく思います。プロジェクトの立ち上げに尽力してくださったすべての人々に感謝します。たくさんの人が貢献してくれましたが、以下の人々は特筆すべきでしょう。Thiago Macieira はオープンガバナンスにおける初期の立ち上げを行ってくれました。Marius Storm-Olsen はその後の多くの仕事を行ってくれました。Cristy Hamley はすべての法的な問題に対処してくれました。Olivia Puntanen はプロジェクトの管理を行ってくれました。みんなありがとう。
Qt の開発の新たな歴史が始まることを非常に楽しみにしています。そして、Qt をより良い製品とするためにみなさんと共に働けることにも楽しみにしています。