Qt SDK 1.1 テクノロジープレビュー版

Qt SDK 1.1 テクノロジープレビュー版をリリースいたしました。この SDK は Nokia Qt SDK 1.0 と Qt SDK を Qt 4.7 をベースに統合したもので、モバイルとデスクトップのプラットフォームをサポートします。

Qt SDK 1.1 の目標は Symbian, Maemo5, デスクトップ向けの Qt Quick 開発を簡単に始められるようにすることです。具体的な項目を以下に示します。

  • Qt Creator 2.1 RC には Qt Quick の開発ツールが含まれます。詳細は Qt Creator の最新の記事 を参照してください。
  • Symbian^1 と Symbian^3 向けの Qt 4.7.1 がツールチェインにバンドルされます。また、携帯電話にインストールするための sis パッケージも含まれます。
  • Symbian (Simbian^1 と Symbian^3)向けの Qt Mobility が 1.1.0 になり、 様々な新機能やバグの修正 が加えられました。
  • N900 向けでは Qt 4.7 での開発が可能になっています。
  • Qt Simulator 版は Qt 4.7.1 と Qt Mobility 1.1 に対応しました。

この Qt SDK 1.1 テクノロジープレビュー版からはデスクトップの開発者もモバイルの開発者も全く同じセットアップの方法、同じ機能、同じ環境を使用することになります。これによりデスクトップアプリケーションのモバイルプラットフォームへの移植がより簡単になるでしょう。("Qtest Mobile App Port" コンテストをご存知ですか?)

これまで開発者の方々から Nokia Qt SDK 1.0 の Symbian のサポートレベル、特にネイティブ API が使用できないことについてのフィードバックをたくさんいただきました。今まではネイティブの API を必要とする場合には、platform SDK を別途インストールしなければなりませんでした。Symbian ツールチェインのリファクタリングを行い、Symbian^3 のネイティブ API がこの SDK で使用できるようになりました。これはオプションで、インストーラーかメンテナンスツールを通してインストール可能です。今後のリリースでもこのエリアには様々な機能を追加していく予定です。

さらに、オプションのパッケージについても追加や更新があります。Nokia Qt SDK 1.0 には既にプロジェクトのコンパイルをリモートにあるサーバーで行うことができる「リモートコンパイラ機能」が統合されていました。この機能にも最新バージョンではいくつもの改善がなされ、最新の Qt や Qt Mobility のバージョンを使用したコンパイルも可能になります。

Notifications API はサーバーへ接続し、様々な通知の送受信を行う Qt ベースのフレームワークです。通信するデータ量を最小限にし、最近のスマートフォンで要求されるようなバッテリーに優しい作りになっています。現在この機能は SDK の experimental セクションにありますが、まもなく完成させる予定です。詳細は プロジェクトのページ を参照してください。

上記に加えて、前回のリリース以降に報告された Qt Simulator やインストーラーに関する様々なバグを修正してきました。

このリリースのプラットフォームのサポート状況を以下の表に示します。

ホストターゲット Desktop Qt Simulator Maemo5 Symbian
Microsoft Windows
Linux △(リモートコンパイラを使用)
Mac OS X △(リモートコンパイラを使用)

このリリースはテクノロジープレビュー版のため、この SDK を使用した開発端末へのアプリケーションの配布は可能ですが、製品開発には利用できません(Ovi Store でアプリケーションを配布するには Qt SDK 1.1 の正式リリースを使用する必要があります)。

最後になりましたが、ダウンロードの URL を示します。 Qt SDK 1.1 は Forum Nokia 内のページ もしくは qt.nokia.com の以下の場所からダウンロード可能です。

プラットフォーム オンラインインストーラー オフラインインストーラー
Microsoft Windows 15MB 1,6GB
Linux 32bit 27MB 641MB
Linux 64bit 27MB 642MB
Mac OS X 13MB 567MB

これまでの Nokia Qt SDK と同様、オンラインもしくはオフラインのインストールの選択が可能です。オフラインインストーラーが全てを含んだ1つの巨大なパッケージになっているのに対して、オンラインインストーラーでは利用するコンポーネントを選択することによってダウンロードのサイズを減らす事ができます。どちらを選択してもインストール内容を変更することができ、新しいターゲットの追加や削除が可能です。また、パッケージの更新通知を受け取る事もできます。

私たちは皆さんからのフィードバックをお待ちしています。もし何かの問題を発見した場合にはお気軽に私たちの JIRA システムまでご報告ください:http://bugreports.qt.nokia.com

この記事は Qt Blog の "Qt SDK 1.1 Technology Preview released" を翻訳したものです。


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